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<少年>
さすがに、もう、何の力も残ってねぇみたいだな。
<エルデバーム>
いや だ 死、死にたく な い
わたしの わたしの全てが 消え て・・・
<アーシャ>
・・・
<エルデバーム>
なぜだ なぜ こんな思いを しなくては ならない
怖い 苦しい 頭が 狂う
<エルデバーム>
せめて わたしに 心なんて なければ・・・
ただの 道具だったなら・・・
<エルデバーム>
悲しみ を 感じる ことも
死の 恐怖に 怯えることも なかったのに
<エルデバーム>
どうせ しんで しまうなら・・・
どうせ なにも 残らないのなら・・・
<エルデバーム>
心 なんて いらなかった
<アーシャ>
・・・本当にそうなの?
<アーシャ>
あなたの心は、悲しみや恐怖、絶望しか
あなたに与えてくれなかったの?
<アーシャ>
私は、あの洞窟で感じたんだよ。
あなたの暖かな心を。
<アーシャ>
森のみんなに囲まれて、楽しそうにしているあなたを。
みんなが幸せそうに生活する姿を見て
嬉しそうにしているあなたを。
<アーシャ>
あなたを生み出した人は
そんな気持ちをあなたに感じてもらいたくて
あなたに心を持たせたんじゃないかな。
<アーシャ>
死んでしまうことは、とっても悲しいことだと思う。
ものすごく恐ろしいことだと思う。
だけど!
<アーシャ>
それでも、心を持ったことに対して
生まれてきたことに対して
後悔はして欲しくない。
<エルデバーム>
・・・・・
<少年>
(ん? 即席の封印への抵抗がなくなった・・・)
<少年>
(もしかして、今の話を聞いて、エルデバームが
 精気を吸収しようとするの止めたのか?)
<少年>
(いや、ただ単に、力尽きただけかもな)
<アーシャ>
(・・・エルデバームさんの気が
 完全に感じられなくなっちゃった・・・)
<アーシャ>
(・・・・・)
<アーシャ>
(もし、私が死に直面したときには
 何を思うだろうなあ・・・)

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