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〜第8話〜

焦燥 消えゆく精気



<少年>
なっ、嘘だろ?
<少年>
(封印が解かれた? ってことは、あいつがやられた?
 そんな馬鹿な? ていうか誰に?)
<少年>
(くっ、これじゃ作戦なんて決行できねぇじゃねえかよ。
 それに、もし最後の封印まで解かれちまったら…)



<アーシャ>
(森全体の陰気が増しているというよりは
 陽気、というか精気が失われていく感じがする・・・)
<エルデバーム>
みなさん、聞こえますか?
<アーシャ>
あ、はい、なんでしょう?
<エルデバーム>
今の森の状況についてなのですが・・・
<エルデバーム>
森の気の流れやバランスの調節ができないほど
私の力が衰えてしまっているようなのです。
<アーシャ>
それが、森が今こんな状況になっている原因
ということですか?
<エルデバーム>
はい、どうか、一刻も早く最後の封印を
解いていただけないでしょうか?
このままでは、森が大変なことに・・・
<ゼライド>
そりゃあ、もちろん!
さぁ、アーシャさん
サクっと封印を解きにいっちゃいましょうよ。
<アーシャ>
そうだねぇ・・・う〜ん・・・
エルデバームさん、封印の場所の状況ってわかります?
どのくらい人がいそうだ、とか。
<エルデバーム>
残念ながら、全く感知できていません。
お役に立てなくて申し訳ありません。
<アーシャ>
そうですか・・・
ところで、シルファ、 手紙ってまだ持ってる?
<シルファ>
ん? あー、まだ持ってるけど?
<アーシャ>
じゃあ、ゼライドとシルファはさ
手紙を届けにいってもらえるかな?
<ゼライド>
へ? アーシャさん、もしかして
1人で封印を解きに行くつもりなんすか?
そりゃ危険っすよ。
<アーシャ>
ゼライド、手紙を渡すときにさ
「A−13」って伝えてもらえる?
<ゼライド>
え!? あの、あっはい、わかりました。
<ゼライド>
よし、サクっと手紙を届けにいくぞ、シルファ。
<シルファ>
あぁ、わかった、けど・・・
<ゼライド>
それじゃ、アーシャさん、お気をつけて。また後で。
ほら、とっとと行くぞシルファ。
<アーシャ>
うん、よろしくね。
<アーシャ>
それじゃ、私も向かおうと思います。
<エルデバーム>
はい、どうかよろしくお願いします。


街に向かうシルファとゼライド

<シルファ>
なあ、「A−13」って何なんだ?
<ゼライド>
王国軍が伝令の緊急度を表すのに使われてる暗号でさ
「A−13」は超緊急時にしか使わねえやつだよ。
「大量の魔物が城下街に攻めてきた」くらいの緊急度だな。
<シルファ>
は? なんでそんな高い緊急度で伝える必要があるんだ?
<ゼライド>
わかんねえ。わかんねえけど
何か考えがあってのことだろうから
こうやって急いでんじゃねえか。
<ゼライド>
(緊急に王国軍の力を借りたいってことは
 封印を解けば万事解決とは、いかなそうってことか?)
<ゼライド>
(あと、あの場で詳しく理由を話さず、しかも
 暗号を利用したってのは・・・
 エルデバームへの隠匿のため?)
<ゼライド>
(だー、わっかんね〜
 いいや、もう、とにかく急ごう)


最後の封印の場所へ向かうアーシャ

<アーシャ>
(何だか、森の空気が段々と悪くなってきてる・・・)
<アーシャ>
(でも、気のバランス調整がされないだけで
 森がこんな状態になってしまうとは思えない・・・)
<アーシャ>
(森の精気が急に減少した原因は
 他にあると思うんだけど・・・)
<アーシャ>
(それに、エルデバームさんから感じられる精気・・・
 どうも違和感があるんだよね)
<アーシャ>
(森が衰退し始めているのに、エルデバームさんから
 感じ取れる精気には、弱々しさがなかった。
 むしろ、前より精気が強く感じられるような・・・)
<アーシャ>
(敵が何をしたいのかも見えてこないし、できれば
 あの少年に詳しく話を聞きたいとこだけど・・・)
<アーシャ>
(4つ目の封印のとこに、あの少年がいてくれるか
 封印を守っている人が話の通じる人だと
 いいんだけど・・・)

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