<ジーナ> なるほどのう。森の奥へ行くのは危険じゃから とりあえず話だけ聞いてから帰ろうというわけじゃな。 | |
<アーシャ> はい。 | |
<ジーナ> 村の子供になら、エルデバーム様の神秘的な物語でも 聞かせてやるんじゃが、あんたにゃあ、現実的な話を した方がいいじゃろうなあ。 | |
<アーシャ> はい、お願いします。 | |
<ジーナ> エルデバームは、この森では神のように 崇められている存在じゃが、森の生態系を管理するために 古代に創られたものなのだそうな。 | |
<ジーナ> 森に広く張り巡らされた根は、土の状態や魔力の流れを捉え 地下深く伸びる根で吸い上げた水や、本体内で生成した エネルギーをバランス良く散布しているんじゃ。 | |
<ジーナ> もちろん、この管理機能にも限界はある。 最近のように極端に雨が降らなかったりすると さすがに手が回らなくなるようなんじゃ。 | |
<ジーナ> 今回の魔物騒ぎも、普段森の奥にしかいない魔物が 食物が不足して、ここいらに出没するように なったんじゃろう。まあ、そのうち収まるさね。 | |
<アーシャ> 確かに、最近の雨の少なさにしては 草木が青々と元気よく茂ってますよね。 | |
<ジーナ> また、そういった生態系を管理する機能の他に エルデバームには自分の意思を持ち、 人と会話をすることもできるのじゃよ。 | |
<アーシャ> 意志、ですか・・・ | |
<ジーナ> 直接、声を出して会話をするわけではないんじゃが 自分の思っていることをテレパシーのように相手に 伝えることができるんじゃよ。 | |
<ジーナ> もっとも、子供のように感受性の高い者や、ある程度の 魔力を持った者でないと、感じ取ることはできんがのう。 | |
<ジーナ> 自然に対してだけでなく、人に対しても接することができ 時にはやさしく話しかけ、時には厳しく叱る。 そんなところが長い間皆に信仰されておる理由じゃな。 | |
<アーシャ> なるほどー、すごいですねえ。 機会があったら、ぜひ一度お話してみたいです。 | |
<ジーナ> そうじゃ、家の裏の洞窟にとっておきの場所があってのう。 森に漂う残留思念の吹き溜まりとなっている場所なんじゃが そこならエルデバームの意志を感じ取れるやもしれん。 | |
<ジーナ> といっても残留思念を感じ取るだけじゃから 過去の会話の様子がなんとなく頭をよぎるような感覚を 得られるだけじゃがのう。 | |
<アーシャ> 面白そうですね。ぜひ、そこに行ってみたいです。 | |
<ジーナ> じゃあ、ちょっとついてくるがよい。 |
<アーシャ> わー、けっこう広くて深いんだなあ。 | |
<ジーナの声> あー、あー おーい、私の声は聞こえとるかい? | |
<アーシャ> はい、聞こえます。すごいですね。 こんな洞窟の奥と外とで会話できるなんて。 | |
<ジーナの声> その赤い水晶の立っている付近だったら 声が届くからのう。安心して進むがええ。 | |
<ジーナの声> といっても、一本道じゃし、魔物もコウモリくらいしか おらんから大丈夫じゃがな。 | |
<ジーナの声> 残留思念が感じ取りやすいよう、入り口は閉じてあるが 何かあったら言っておくれよ。 それじゃ、先ほど話した奥にある小さな部屋まで・・・ | |
<アーシャ> あれ? なんかコウモリ以外にもいろいろ魔物が いるみたいなんですけど。 | |
<ジーナの声> なんじゃと? そんなはずはな な なぃ は ・・・ ズ ・・・ジャガ・・・ | |
<アーシャ> え? ちょっと、ジーナさん? ジーナさ〜ん、聞こえますか〜? | |
<水晶> ・・・・ | |
<アーシャ> う〜ん・・・ けっこう奥まで来ちゃったことだし とりあえず進もうかな。 |