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〜第5話〜

封印を解き放て






<アーシャ>
(ええと、2人はどこかな?)
<シルファ>
お〜い、お疲れさ〜ん。
<アーシャ>
あ、いたいた。
って、あれ?ゼライドは?
<シルファ>
移動するには支障ない怪我だったから
一旦あの村まで連れて戻って、休ませといたよ。
<アーシャ>
それじゃあ、もう大丈夫だね。
<アーシャ>
ところで・・・
<アーシャ>
・・・というわけで、エルデバームのところまで
行ってみようと思ってるんだけど。
<シルファ>
確かに、森の中のことならエルデバームが
一番詳しそうだしな。
<シルファ>
私も森の状況は気になるし、一緒に行かせてもらうよ。
<アーシャ>
ありがとう、助かるよ。


というわけで、2人でエルデバームのところに
行くことにしました。


エルデバームのところへ


<アーシャ>
うわー、やっぱ大きいねえ。
お城5つ分くらいは高さがありそう。
<シルファ>
樹齢何年ぐらいなのかねえ。
<???>
・・・タ・・・ケ・・・
<アーシャ>
ん?
シルファ、今なにか言った?
<シルファ>
いや、別に。
<アーシャ>
う〜ん、気のせいかなあ・・・
<???>
・・だ・・たスけ・く・・・
<アーシャ>
あ、また・・・
<アーシャ>
もしかして、これが、エルデバームの声?
<シルファ>
ん〜、私には何にも聞こえないけどな。
<アーシャ>
もうちょっと近くまで行ってみようよ。
<シルファ>
ああ。


エルデバームに近づいた


<???>
・・誰か、いませんか・・・
<シルファ>
お、私にもちょっと聞こえたよ。
<???>
私の声が聞こえる人は、いませんか・・・
<アーシャ>
は〜い、ここにいますよ〜。
<???>
ああ、やっと私の声が届くところまで
来てくれる人が・・・
<アーシャ>
この声の主はエルデバームさんですか?
<エルデバーム>
はい、そうです。
<アーシャ>
私たち、あなたなら何か森の異変について
知っているかと思って、ここに来たんですけれども。
<エルデバーム>
異変、ですか・・・
残念ながら、今の私には森のことは全く分かりません。
<シルファ>
あんた、この森を統括してるんじゃないのかよ。
<エルデバーム>
1ヶ月ほど前からでしょうか・・・
私は何者かに機能のほとんどを停止させられていて
近くにいる人に話しかけるのが精一杯なんです。
<アーシャ>
いったい、誰がそんなことを・・・
<エルデバーム>
わかりません。ただ、このままでは
この森はバランスを失い、崩壊の一途を
辿ることになるかもしれません。
<エルデバーム>
私自身の命も、今のままでは長くはもちません・・・
<シルファ>
あんたの、その機能ってやつは
どうやって止められてんだい?
<エルデバーム>
私はこの森の隅々に張り巡らされた根で
森の気の流れを感じ取ったり、気の流れが
調整されるよう働きかけたりするのですが、
<エルデバーム>
この場所から根の先までの中継点が計4箇所、
東西南北に用意されていて、その4箇所が
魔術的な封印を施されているようなのです。
<アーシャ>
その封印を解けば、機能も回復するということですか?
<エルデバーム>
そのはずです。
<シルファ>
ここに来るまでに出会った、普段見かけない魔物って
もしかすると、あんたの機能を封印したやつが
けしかけたんじゃないか?
<アーシャ>
う〜ん、そういう可能性もあるかもね。
ここへ誰かが来るのを阻もうとしている感じがしたし。
<エルデバーム>
お願いです。その封印を解いてくれませんか?
この森のためにも、どうか、お願いします。
<アーシャ>
できるかどうか分かりませんが、とりあえず
その封印のある場所へ行ってみようと思います。
詳しい場所を教えていただけますか?
<エルデバーム>
わかりました。今、あなた方に場所のイメージを
お送りします。どうぞ感じ取って下さい。
<エルデバーム>
・・・・・・
<アーシャ>
・・・・・・
<エルデバーム>
感じ取っていただけましたか?
<アーシャ>
はい、大丈夫です。
<シルファ>
あ、ごめん、もっかいお願い。
<エルデバーム>
・・・・・・
<シルファ>
よし、来た来た、もう大丈夫。

この後、私たちは、エルデバームさんに
私たちの知る限りの森の状況と、ここに来るまでに
出会った魔物などについて伝えました。

私の出会ったシーサーペントについては
エルデバームさんも、そんな生き物が湖に
生息してるとは思えない、とのことでした。
<アーシャ>
それじゃあ早速、4つのうちのどれかに
向かってみようと思いますので、私たちはこれで。
<エルデバーム>
はい、どうかよろしくお願いします。


湖まで戻ってきた


<アーシャ>
う〜ん、どうも、しっくりこないんだよね。
<シルファ>
ん? 何が?
<アーシャ>
封印をした人が、封印を解かせないために魔物を
召喚か何かしたとして、そんなことをする目的が
何なのかが、思い当たらないんだよね。
<アーシャ>
エルデバームさんを封印して得する人なんて
いるのかなあ?
<シルファ>
敵国がうちらの国の生産力を落とそうとしてるとか。
<アーシャ>
それなら、森に直接損害を与えた方が
効率的なんじゃないかな。それに、そういう場合に
森よりも狙いやすいところはいくらでもあるし。
<シルファ>
ま、そんな難しいこと私にゃわかんねーや。
封印を解いてるうちに何か分かるって。
とりあえず、場所に行ってみようぜ。
<アーシャ>
う〜ん、また魔物が待ち構えているかもしれないし、
状況を正しく判断するためにも、
街の方から応援を呼ぼうと思うんだけど、
<アーシャ>
今から手紙を書くからさ、街にいる私の知り合いまで
届けてもらえないかな?
<シルファ>
別にかわまないけど、あんたが直接会いに行った方が
いいんじゃないのか?
<アーシャ>
私は応援が来るまでに、封印のある場所を
ちょっと探っておこうと思うから。
<シルファ>
私がいても邪魔なだけだから、追い返そうってわけか。
<アーシャ>
え? あの、そんなつもりじゃ・・・
<シルファ>
あっはっは、冗談だよ。
私が街に戻って、あんたが探る方が効率的だし
適材適所な良い判断だと思うよ。
<シルファ>
(それにしても、あれほどの力がありながら
 随分と慎重な気がするけど・・・)
<シルファ>
(どっちかっていうと、他人が危険な目に遭うことに
 ものすごく抵抗があるのかもしれないねぇ)


村へ戻ったシルファ


<シルファ>
というわけで、アーシャはまず北の方のを探りに行って
私は手紙を届けに行くことになったから。
<ゼライド>
そっかー。
何だか大事になってきやがったな。
<シルファ>
それにしても、王国軍のところに手紙を届けに
行くことになるとは思わなかったよ。
有名人は知り合いの質も違うねえ。
<ゼライド>
そんな人物とタメ口で話してるお前の気が知れん。
<シルファ>
広い視野で見りゃ、私ら同じ「人間」だろ。
そんなもん気にするだけ損だって。
<シルファ>
で、怪我の方はもう大丈夫なのかい?
<ゼライド>
ああ、もうばっちり回復したよ。
てことで、俺はアーシャさんを手伝いに行くぜ!
<シルファ>
いや、あんた、また調子こいてヘマしそうだし
行き違いになるかもしんないから止めとけ。
<ゼライド>
そんじゃ、とりあえずここで待機してるよ。
<シルファ>
ん? 一緒に来ねえの?
<ゼライド>
手紙の届け先って王国軍の魔法研究所のとこだろ?
ちょっと、近づきたくない事情があるんだよ。
<シルファ>
ああ、そういえば、あんた昔・・・
<シルファ>
そんじゃ、ぱぱっと行ってくるからさ。
大人しく待ってなよ。
<ゼライド>
おう、気をつけてな。


目的地に向かって森を進むアーシャ


<アーシャ>
(目的地にだいぶ近づいてきたけど
 今のところ、敵の気配があまりしないね・・・)
<アーシャ>
(もうちょっと、近づいても大丈夫かな?)

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