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<アーシャ> (うん、今日もいい天気だねえ。) |
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<アーシャ> (そういえば、あれからもう2年も経つんだなあ・・・) |
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<アーシャ> ・・・・ |
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<アーシャ> (あ、向こうから走ってくるのは・・・) |
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<アーシャ> おはようございます。 |
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<ライナス> おはよう。 |
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<アーシャ> ライナス先輩は、いつもの早朝ランニングですか。 |
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<ライナス> ああ。 |
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<ライナス> 君もこの場所を随分気に入ってくれたみたいだな。 |
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<アーシャ> はい、落ち込んでるときや、気合を入れたいとき、 気分転換をしたいときなんかに、良く来てます。 |
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<ライナス> 今日は・・・ 落ち込んだとき、か。 |
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<アーシャ> いえ、落ち込んでるってほどではないんですが・・・ |
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<アーシャ> 騎士団養成学校を出てから2年ほどが経ちましたけど 目標に向かってちゃんと歩いていけているのか、 ちょっと心配になりまして。 |
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<ライナス> あれからもうそんなに経ったか・・・ |
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<ライナス> 正直いって、君は騎士団には向いていない。 |
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<アーシャ> そう…ですか・・・ |
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<ライナス> 現在の騎士団の体制は、剣術なら剣術のみ、魔法なら魔法のみを とにかく訓練させ、仕事でも、そのどちらかを使う機会しかない。 |
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<ライナス> 君の「魔法と剣術を両立できる」という特性は活かされず 衰退させられてしまうだろう。 |
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<ライナス> 次に、君の性格についてだが、 人を使役するという点において消極的すぎる。 また、困難を全て自分で背負おうとするきらいがある。 |
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<ライナス> まだまだ先の話だが、上の立場になっていくと 軍隊では特に、組織のために非情に徹して厳しい命令 をせざるを得ないときもある。 |
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<ライナス> 君はそんなことができるような性格ではないと俺は思っている。 |
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<ライナス> そんなわけで、君は騎士団には向いていないと俺は思う。 しかし、騎士団に入る入らないを決めるのは君の自由だ。 向いていないというのも、俺の主観による意見でしかないからな。 |
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<ライナス> それに、たとえ向いていなかったとしても 人は変わろうと思えばいくらでも変われる可能性はあるし 騎士団の体制自体を変えていくことも可能だろう。 |
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<ライナス> まずは、騎士団に入って何をしたいと思っているのか、 それは騎士団に入らないとできないことなのか。 それを良く考えてみてもらいたい。 |
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<ライナス> それらを踏まえた上で、君に教えておきたいことがある。 |
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<ライナス> 現在、アレスティア王国には、王国軍や国立魔法研究所のように 国の管理下にある組織の他に、自警団やハンターズギルド、 古代魔術や神聖魔法等の各分野専門の魔法研究所、 |
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<ライナス> 古代文明を研究している機関から、農工関連の新技術の開発に 注力する機関など、様々な組織が存在する。 |
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<ライナス> しかし、これらの組織は互いに連携が取れていないのが現状だ。 特に国営の機関とその他の機関とのわだかまりは大きい。 |
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<ライナス> 俺は、これらの組織間の橋渡しとなる者が必要だと考えている。 |
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<ライナス> 君は魔法に関する知識もあり、遺跡や洞窟を探索する体力もあり、 新しいことでも古いことでも、偏見なく受け入れ考察できる 素直さも持っている。 |
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<ライナス> なので、各組織間の仲介を行う人物に適していると思っている。 もちろん、このような仕事をするには、まだまだ学ばなければ ならない知識や経験が多々あるだろう。 |
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<ライナス> また、世の中の情勢や変化や産業の発達に伴い、 新たな知識を常に学んで取り込んでいかなければならない。 |
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<ライナス> もし、こちらの方面を目指すのなら、 まずはハンターズギルドに所属し、多種多様な仕事をすることで 多くの人たちと会い、様々な知識や経験を積むのがいいだろう。 |
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<ライナス> 以上が、君の今後に対する俺からのアドバイスだ。 どうするかは自分の自由だ。じっくりと考えるといい。 相談したいことがあれば、遠慮なく言ってくれ。 |
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<アーシャ> あれから、いろんな仕事をして、いろんな人に会って、 いろんなことを学んできたつもりです。 |
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<アーシャ> ですが、学んできたことを、ちゃんと活かすことが私にできるのか、 学ぶということが、ただの自己満足になってないか、 不安に感じるときがあるんです。 |
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<ライナス> 自分なりに一生懸命努力していると思えるのなら大丈夫だろう。 結果というものは、得てして、あとから付いてくるものだ。 努力している最中に得られるものではない。 |
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<ライナス> もちろん、努力したからといって、 必ずしも良い結果が得られるとは限らない。しかし、 努力しなければ、良い結果は得られないはずだ。 |
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<ライナス> 不安になろうとも、自分がなぜこんなことをしているのか 疑問に思おうとも、良い結果が出せそうになくとも、 それを努力をしない理由にせず、努力を続けていれば |
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<ライナス> 少なくとも、努力をしなかった場合よりは ましな結果が得られるだろう。 |
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<ライナス> 俺から言えるのは、それだけだ。 君がどれほど努力したのかの評価や、君がどれほど 努力すればいいのかの判断は、俺にできることじゃないからな。 |
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<アーシャ> いえ、ありがとうございます。 おかげで気持ちに整理がつきましたし、不安もなくなりました。 |
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<ライナス> そうか・・・ |
<男の声> お〜い、ライナス。 | |
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<アーシャ> ゴードン先輩、おはようございます。 |
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<ゴードン> アーシャちゃんも一緒か。丁度良かった。 大変なことが起きたんだ。一緒に来てくれ。 |
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<アーシャ> ええっ!! ザルガスカ帝国が宣戦布告を!? |
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<ゴードン> ああ。しかも、既に大軍が北の砦のすぐ近くまで 進軍してきてるそうだ。 |
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<アーシャ> 確かに、ザルガスカ帝国とは、それほど関係が良好では ありませんでしたけど、宣戦布告だなんて いくらなんでも突然すぎませんか? |
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<ライナス> 他国を攻めざるを得ない事態に陥ったのか、 他国を攻める力を得たのか・・・ 後者だと厄介だな。 |
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<ゴードン> とにかく、1番隊から3番隊は北の砦で待機、 4番隊、5番隊は、念のため国民を城内、中央広場、闘技場、及び 各地の騎士団の支所へと避難させろとのことだ。 |
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<ゴードン> というわけで、俺らは砦に向かう。 アーシャちゃんはギルドや自警団への現状の連絡と 避難の手伝いをしてくれないか。 |
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<アーシャ> はい、わかりました。 |