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クリスに頼まれて、エリーと一緒に研究の材料を ステンシアの森に採りにいった帰りのことでした。 |
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私達はステンシアに来たついでに グレニアさんの家へと寄りました。 |
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<エリーシア> ごめんください。 |
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<グレニア> やあ、いらっしゃい。 |
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<アーシャ> 仕事の帰りなんですけど ちょっと顔を出しておこうと思いまして。 |
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<グレニア> そうかい。ルーファスは、今まだ学校だけど そのうち帰ってくるだろうから、 よかったら、ゆっくりしていきなよ。 |
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<エリーシア> はい、それじゃあ、お邪魔させて頂きます。 |
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<エリーシア> いつもルーファスの面倒を見ていただいて 本当にどうもありがとうございます。 |
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<グレニア> いやいや、とっても真面目でいい子だし 仕事も手伝ってもらっちゃって、こちらとしては大助かりだよ。 |
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<グレニア> この診療所に来る人たちからの評判も とってもいいんだよ。 |
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<エリーシア> それはよかったです。 |
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<アーシャ> ところでグレニアさん。 ちょっと気になることがあるんですけど・・・ |
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<グレニア> ん? なんだい? |
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<アーシャ> 外に植えてある植物のことなんですけど、一区画だけ 何だか元気がないみたいなんですけど、どうしてですかね? |
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<グレニア> そうなんだよ。なぜかわからないけど、あそこだけね。 誰かに傷つけられたとか、変な病気が流行ってるってわけでも ないんだけどねえ。 |
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<アーシャ> 何だか、エネルギーというか、気というか、そういうのを 抜き取られたかのような感じですよね。 |
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<グレニア> もしかすると、根っこの方に何か問題があるかもしれないねえ。 今度、詳しく調べてみようかな。 |
<来診者の声> すみませ〜ん。グレニア先生、いらっしゃいますかー? | |
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<グレニア> おっと、来診のようだ。 ちょっと席をはずすけれど、気にせずゆっくりしていってね。 |
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<アーシャ> はい。 |
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<女の子> ルーファス君、また勉強おしえてもらえる? |
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<ルーファス> うん、いいよ。 |
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<女の子> 今日の宿題のところなんだけど… |
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<男子A> よう、ルーファス、また女子といちゃいちゃしてんのかよ。 |
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<男子B> ていうか、お前ほんとは女なんじゃねえの? ヒョロヒョロだしよぉ。 |
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<女の子> なによ、あんた達、自分がもてないからって ひがんでんじゃないわよ。みっともない。 |
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<男子C> あんだと、やんのかこら! |
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<女の子> かよわい女の子に暴力ふるう気? さいってーね! |
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<男子A> 用があんのは、おめぇじゃねえ。ルーファスの方だ。 てめぇは引っ込んでろ。 |
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<男子B> というわけだ。ちょっとツラかせよ。 |
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<女の子> ちょっと、連れ出して何しようってのよ。 そんなことさせるわけないでしょ。 |
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<他の女子> そうよ、そうよ、あんたたち邪魔よ。 とっとと出ていってよ。 |
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<男子B> へっ、そうやって女子どもに守ってもらってんのが お前にゃお似合いだよ。 |
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<男子A> もういい、いくぞ。 |
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<女の子> もー、あいつらときたら、まったく・・・ |
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<女の子> ルーファス君、あんなやつらの言うことなんて 気にすることないからね。 |
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<ルーファス> 大丈夫、気にしてなんかないよ。 |
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<女の子> それじゃあ、さっきの続きね。 |
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<女の子> ここの、3問目のところなんだけど・・・ |
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<男子C> くっそ、あの生意気な女子ども・・・ |
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<男子A> あいつだけを連れ出す方法は なんかねーのかよ、お前ら。 |
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<男子B> こんなんどうっすか? |
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<男子B> ごにょごにょ・・・ |
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<男子A> なるほどな。 よし、さっそく、しかけるぞ。 |
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<女の子> ルーファス君、どうもありがとう。これで宿題はバッチリだよ。 |
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<ルーファス> どういたしまして。 |
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<女の子> それじゃ、帰ろっか。 |
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<ルーファス> そうだね。それじゃ、荷物とってくるよ。 |
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<ルーファス> よいしょっと・・・ |
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<ルーファス> ん? なんだ、この紙切れ。 |
<紙切れ> お前が大事にしてる時計と本は預かった。 返して欲しかったら、1人で裏山まで来い。 誰か連れてきたら、時計はぶっ壊すし、本は破くぞ。 | |
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<ルーファス> そんなぁ・・・ |
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<女の子> ルーファス君、帰る準備できた? |
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<ルーファス> あ、ごめん、僕ちょっと用事を思い出したからさ 先に帰っててよ。すぐに追いつくと思うから。 |
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<女の子> そう? それじゃ、またあとで。 |
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<男子A> よう、良く来たな。 |
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<ルーファス> さあ、早く本と時計を返してよ。 |
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<男子C> はっ。 ただで返してもらえるとでも思ってんのかよ。 |
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<ルーファス> じゃあ、どうしたら返してくれるのさ。 |
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<男子A> そうだなあ。土下座でもしてもらおうか。 |
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<ルーファス> なっ… |
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<男子B> どうした? 返して欲しくねーのか? |
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<ルーファス> ・・・・・・ か、返してください・・・ |
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<男子C> ひゃっはっはっ・・・ こいつ本当にしやがったぜー。 かっこわり〜。 |
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<男子B> はっはっはっは、だっせーなおめぇ〜 |
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<男子A> おい、笑うのはそんくらいにしとけ! |
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<男子B> へ? いや、でも・・・ |
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<男子A> こいつがこうして土下座するって事は そんだけこれらが大切ってことだろ。 |
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<男子A> ルーファス、顔上げろよ。 |
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<男子A> ほら、返してやるよ。 |
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<ルーファス> ほんと? |
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<男子A> そんなわけね〜だろ、ば〜か。 |
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<ルーファス> なっ・・・ |
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<男子C> ひゃっはっはっ・・・ 「ほんと?」だってよ。 すんごい嬉しそうな顔して「ほんと?」って・・・ やっべ〜、腹いて〜。はっはっは・・・ |
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男子A> さ〜て、これからどういたぶってやろうかねえ。 |
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<女の子> (気になって、後をつけてきたら・・・ 大変、ど、ど、どうしよう・・・) |
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<女の子> (そうだ! グレニア先生に知らせよう。 待っててね、ルーファス君) |
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<グレニア> ルーファス、遅いなあ。 せっかくエリーシアさんとアーシャさんが来てるっていうのに。 |
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<女の子> グレニアせんせー! |
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<グレニア> おや、どうしたんだい? そんなに慌てて。 |
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<女の子> 大変なの! ルーファス君が、ルーファス君が・・・ |
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<エリーシア> 何? ルーファスがどうしたの!? |
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<ルーファス> 痛っ・・・ |
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<男子A> おら、立てよ。 まだまだこれからだぜ。 |
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<男子B> おいおい、さすがにそろそろ止めとこうぜ。 |
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<男子A> ん、まあ、そうだな。 |
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<男子A> それにしても、こんな本の何がそんなに大事かねえ。 |
ビリッ! | |
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<ルーファス> あ! |
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<男子A> おっと、ボロっちいもんで、ついつい、破いちまったよ。 |
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<ルーファス> おまえら〜!!! |
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<男子B> なんだよ、やろうってのかよ! |
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<ルーファス> 絶対に許さないからな!!! |
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<エリーシア> ルーファス、どこにいるの? |
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<アーシャ> あ、あそこ! ルー君、大丈夫? |
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<アーシャ> え? なっ! |
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<男子A> がぁっ た、たすけ・・・ |
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<男子B> うぅ・・・ |
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<アーシャ> (みんな、ぐったりしてる・・・) |
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<エリーシア> ルーファス、いったい何があったの? |
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<ルーファス> こいつらが悪さばっかりするから ちょっと懲らしめてやっただけだよ。 |
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<エリーシア> なっ? 何を言っているの? |
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<アーシャ> (外傷は特にない・・・ でも、みんな衰弱しきってる・・・) |
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<アーシャ> あ!? |
〜回想〜 | |
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<アーシャ> 何だか、エネルギーというか、気というか、そういうのを 抜き取られたかのような感じですよね。 |
〜回想終わり〜 | |
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<アーシャ> ルー君、もしかして この子たちのエネルギーを吸い取ったんじゃ・・・ |
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<ルーファス> さすがアーシャさん、良く分かりましたね。 |
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<エリーシア> なっ!? そんな・・・ いったい、どうやってそんなことを? |
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<ルーファス> 治癒呪文の応用だよ。アーシャさんのくれた本に載ってた 自分のエネルギーや大気中のエネルギーを相手に流し込んで 自然治癒力を大幅に高める呪文・・・その逆をやっただけさ。 |
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<アーシャ> そんなぁ・・・ |
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<エリーシア> ルーファス、あなた、なんてことを・・・ |
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<ルーファス> こいつらが悪いんだよ! よってたかって僕をいじめようとしてさ。 |
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<ルーファス> そんなことより、喜んでよ、姉さん。 僕はもう、前みたいに、ひ弱な僕じゃなくなったんだよ。 |
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<ルーファス> もう誰かに守ってもらわなくても大丈夫なんだよ。 もう、出来損ないの弟の世話なんてしなくて済むんだよ、姉さん。 |
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<エリーシア> どうしちゃったのよ!? ルーファス! |
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<ルーファス> なんだよ、喜んでくれると思ったのに・・・ |
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<ルーファス> そうか、僕の力がまだ信じられないんだね。 じゃあ、見せてあげるよ、強くなった僕を。 |
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<ルーファス> そうだなあ。まずは鬼ごっこでもしようか。 ははは・・・ |
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<エリーシア> ちょっと、ルーファス! 待ちなさい!! |
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<アーシャ> あ、エリー、ちょっと・・・ |
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<アーシャ> (あ〜あ、いっちゃった・・・ あっちはステンシアの森の奥だね) |
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<アーシャ> (さて、どうしよう。この子たちを このままにしておくわけにもいかないし) |
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<グレニア> おーい、大丈夫かい? |
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<アーシャ> あ、グレニアさ〜ん、こっちです。 |
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<グレニア> いやあ、やっと追いついたよ。 しかし、これはいったい、何があったんだい? |
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<アーシャ> 実は・・・ |